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2025.04.10 注文住宅コラム
住まいの第一印象を決める! 「上り框」を選ぶポイント

玄関は、住まいの顔であり、外と内をつなぐ大切な空間です。中でも、上り框(あがりがまち)は、毎日の生活の中で何度も使う重要な場所。今回は、マイホームづくりで意外と見落としがちな上り框について、ポイントを詳しくご紹介していきます。
■上り框とは?その役割と重要性
上り框は、玄関の土間から室内に上がる際の段差部分のことを指します。一般的な木造住宅では、地面から室内までの高さは約45〜60cmあるため、建物に合わせて10〜30cm程度の框を設けることで、安全で使いやすい玄関が成り立ちます。
上り框には、大きく3つの重要な役割があります。
1つ目は、外からの土や埃を家の中に持ち込まないための区切りとしての役割です。
2つ目は、靴を脱ぎ履きする際の腰掛けとしての機能です。
そして3つ目は、玄関の意匠性を高める装飾としての役割です。特に、玄関は来客をお迎えする空間としても重要なため、上り框のデザインは空間の印象を大きく左右します。
上り框の寸法は、使い勝手に大きく影響します。上述のように、一般的な上り框の高さは、土間から約10〜30cmが標準とされています。この高さは、靴を履く際に腰掛けやすく、また室内への上がり降りがしやすい高さとして長年の経験から導き出された数値です。
奥行きについては、成人が安全に腰掛けられる寸法として、35cm以上を確保することが推奨されています。特に、小さなお子様やご高齢の方がいる家庭では、ゆとりのある寸法設定が重要です。また、玄関の広さに余裕がある場合は、40cm以上の奥行きを確保することで、より快適な使い心地が実現できます。
■素材選びのポイント
上り框の素材選びは、見た目だけでなく、耐久性や手入れのしやすさも考慮する必要があります。代表的な素材をご紹介します。
無垢材
無垢材は、温かみのある質感と高級感が特徴です。なかでも、タモやナラなどの堅木は傷つきにくく、長年の使用に耐える素材として人気があります。経年変化による味わいの深まりも魅力の一つです。ただし、定期的なメンテナンスが必要で、水濡れには注意が必要です。
人工大理石
人工大理石は、耐久性が高く、お手入れが簡単という特徴があります。天然石に比べて価格も手頃で、様々なデザインから選べるのも魅力です。特に、小さなお子様がいるご家庭では、掃除のしやすさから選ばれることが多い素材です。また、傷がついた場合も補修が可能です。
タイル
タイルは、デザイン性が高く、防滑性にも優れています。最近では、木目調やコンクリート調など、様々なデザインのタイルが登場し、選択肢が広がっています。耐水性や耐久性に優れているため、メンテナンス性も高いのが特徴です。
■形状のバリエーション
上り框の形状は、直線的なストレートタイプが一般的ですが、最近では様々なバリエーションが登場しています。
L字型の上り框は、コーナー部分に腰掛けスペースを確保できるため、家族が多い場合に便利です。また、玄関収納と一体化させることで、すっきりとした空間づくりも可能です。収納力を高めたい場合は、上り框下部にシューズボックスを設置することもできます。
曲線を取り入れたデザインは、やわらかい印象を与え、特に小さなお子様のいるご家庭に人気です。角がないため、安全性も高まります。また、空間に優しい雰囲気をもたらすため、リラックスできる玄関づくりにも効果的です。
■メンテナンス方法と注意点
上り框は毎日使用する場所だけに、適切なメンテナンスが欠かせません。素材別のお手入れ方法をご紹介します。
無垢材
無垢材の場合は、乾拭きを基本とし、汚れがひどい場合は固く絞った布で拭き取ります。年に1回程度のワックスがけで、美しい風合いを保つことができます。突き傷や擦り傷が気になる場合は、専用のリペアキットで補修することも可能です。
人工大理石
人工大理石は、普段は乾拭きで十分ですが、汚れが気になる場合は中性洗剤を使用して拭き取ります。強いアルカリ性の洗剤は表面を傷める可能性があるので避けましょう。また、直射日光による変色を防ぐため、必要に応じてカーテンやブラインドで日光を調整することをお勧めします。
タイル
タイルは、日常的な掃除に加えて、目地の汚れにも注意が必要です。専用のブラシで定期的に清掃することで、美しさを保つことができます。防カビ剤入りの目地材を使用することで、メンテナンス性を高めることもできます。
■施工時の注意点
上り框の施工は、見た目だけでなく安全性にも関わる重要な工程です。施工時にどのような点に注意しているかをご紹介しますので、完成時の点検で上り框をチェックする際に参考にしましょう。
水平・垂直の精度は、使い勝手に直結します。わずかな傾きでも、靴の脱ぎ履きの際に違和感を感じる原因となります。また、框と壁との取り合い部分の処理も重要で、経年劣化による隙間の発生を防ぐ配慮が必要です。施工後の調整が難しい部分なので、施工時の精度が特に重要になります。
防水処理も重要なポイントです。特に木材を使用する場合は、土間からの水分の影響を受けやすいため、適切な防水処理が欠かせません。下地の処理から仕上げまで、確実な防水対策を施すことで、長期的な耐久性を確保することができます。
■永く愛せる上がり框の作り方
永く住み続けることを見据えた上り框の設計も重要です。手すりの設置を考慮した形状や、滑りにくい素材の選択など、将来を見据えた計画が必要です。手すりは、後付けも可能ですが、設計段階から考慮しておくことで、より美しい仕上がりになります。
特に、框の角を少し丸める「面取り」加工は、つまずきを防ぐ効果があります。また、明るい照明計画も重要で、足元がしっかりと見える明るさを確保することで、安全性が高まります。センサー付きの足元灯を設置することで、夜間の安全性をさらに高めることもできます。
■まとめ
上り框は、見た目の美しさだけでなく、実用性や安全性、そして将来の使い勝手まで考慮して選ぶ必要があります。毎日の生活の中で何度も使う場所だけに、慎重な検討が必要です。
素材選びでは、見た目の好みはもちろんのこと、家族構成や生活スタイル、メンテナンスの手間なども考慮に入れましょう。また、施工時の精度にもこだわることで、長く快適に使える上り框となります。
玄関は、住まいの顔であり、家族の毎日の暮らしを支える大切な空間です。上り框選びを通じて、理想の玄関づくりを実現してください。家族みんなが使いやすく、かつ美しい玄関は、きっと毎日の暮らしに素敵な彩りを添えてくれることでしょう。
著者情報
愛知県豊橋市を中心に、デザイン性とともに丈夫かつ住みやすさにこだわった注文住宅を手掛ける住宅会社です。
耐震等級3を標準仕様とし省エネZEH対応も可能、土地探しから理想の家づくりまでお手伝いします。
<施工エリア>
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湖西市/およびその近郊


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