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2024.08.26 注文住宅コラム
住宅に「巾木」は要る?要らない?知っておきたい巾木の役割
最近、デザイン性を重視して、室内に巾木をつけない住宅が増えています。
そもそも皆さんは「巾木(はばき)」という言葉をご存知でしょうか?
普段何気なく目にしているものの、その名前や役割までは意識したことがない方も多いかもしれません。
そこで今回は、巾木とは何か、どんな役割があるのかを知った上で、
住宅に巾木を付けなくても大丈夫なのかを検証。
また、巾木の種類やトレンド、選び方のコツまで、住まいづくりに役立つ情報をお届けします
◾️そもそも巾木って一体何?
巾木(はばき)は、床と壁の境目に取り付けられる細長い部材のことです。
一般的に、高さが6〜10cm程度で、床に沿って部屋の周囲を囲むように設置されます。
名前の由来は、「幅(はば)」と「木(き)」を合わせたものです。
昔は主に木材で作られていたことから、この名前が付いたといわれています。
◾️知っておきたい巾木の役割
巾木は見た目のアクセントとしての役割だけでなく、実はさまざまな重要な機能を持っています。
保護する機能
巾木の最も重要な役割の一つが、壁の保護です。掃除機や家具の移動時に、
ものが直接壁にぶつかることを防ぎ、壁の傷や汚れを防止します。
特に子育て世帯では、おもちゃや自転車などが壁にぶつかることも多いため、この保護機能は非常に重要です。
結露対策
床と壁の接合部は結露が発生しやすい場所です。
巾木はこの部分を覆うことで、結露による水分の侵入を防ぎ、カビの発生を抑制する効果があります。
掃除のしやすさ
床と壁の間の隙間にはホコリやゴミがたまりやすいものですが、巾木があることでこの隙間をなくし、
掃除がしやすくなります。また、巾木自体も拭き掃除がしやすい形状になっているため、
家事の効率化にも一役買っています。
意匠性
巾木は室内のデザインにも大きく貢献します。
壁と床の境目をスッキリと見せたり、空間にアクセントを加えたりと、インテリアの重要な要素となっています。
配線の収納
最近の住宅では、巾木の裏側に配線用のスペースを設けるケースも増えています。
これにより、部屋の見た目をすっきりさせながら、必要な配線を効率的に行うことができます。
◾️巾木を付けなくても大丈夫?その結論は・・・
では、もしも巾木を付けなかったらどうなるのでしょうか?
巾木がない場合のメリット・デメリットを比較してみましょう。
【巾木がないことのメリット】
・内装がすっきりとして、シンプルモダンな住宅にふさわしいデザインに仕上がる
【巾木がないことのデメリット】
・掃除機をかけるときに、壁面に掃除機をぶつけて傷ついたり、汚れたりする。
・塗り壁の場合、物がぶつかると壁が欠けてしまう
・ぞうきんで拭くとシミが残る
・床を濡らしたときに、壁と床の間に水がしみこむ
・壁をクロスで仕上げると、クロスが床からの湿気ではがれやすくなる
・床をワックスがけをするとき、壁にワックスが染みてしまう
以上のことから考えると、
住宅の耐久性や機能性といった観点では「巾木は付けないよりも付けるほうがいい」ということになります。
最近はデザイン面を重視し、巾木の高さや素材などもいろいろな種類が出ていますので、
できることなら「付けない」ことよりも「理想の空間にあった巾木を選ぶ」ことをおすすめします。
◾️巾木にはどんな種類があるの?
巾木には様々な種類があり、材質やデザイン、機能性などによって選択することができます。主な種類をご紹介します。
【材質で選ぶ】
巾木の主な材質には、木製、樹脂製、金属製があり、それぞれ次のような特徴があります。
・木製巾木
天然木や合板を使用した巾木です。温かみのある雰囲気を演出でき、自然な風合いが特徴です。
硬い木材を使用することで耐久性も確保できます。ただし、湿気には弱いため、水回りには不向きな場合があります。
・樹脂製巾木
プラスチックやビニール素材で作られた巾木です。耐水性や耐久性に優れ、お手入れも簡単です。
色やデザインが豊富で、木目調のものも人気があります。比較的安価なのも特徴です。
・金属製巾木
アルミニウムやステンレスなどの金属を使用した巾木です。
モダンでスタイリッシュな印象を与え、耐久性にもすぐれています。
ただし、他の素材に比べて冷たい印象を与える場合があります。
・タイル製巾木
陶器やセラミックでできた巾木です。主に水回りで使用され、防水性や耐久性に優れています。
デザイン性も高く、様々な柄や色が選べます。
【形状で選ぶ】
巾木は形状にも様々な種類があります。主な種類には次のような特徴があります。
・フラット型
最もシンプルな形状で、壁に対して垂直に立ち上がる直線的なデザインです。
すっきりとした印象を与えます。
・R型(丸型)
巾木の上部が丸みを帯びた形状で、柔らかい印象を与えます
。掃除がしやすく、ケガのリスクも低減できます。
・段差型
上部に段差のある形状で、立体的な印象を与えます。
デザイン性が高く、空間にアクセントを加えたい場合に適しています。
・斜め型
上部が斜めにカットされた形状で、モダンな印象を与えます。
ほこりがたまりにくいのも特徴です。
【機能で選ぶ】
巾木は、機能性によっても次のように分類できます。
・一般的な巾木
基本的な保護機能と意匠性を持つ標準的な巾木です。
・配線収納機能付き巾木
裏側に配線用のスペースが設けられた巾木です。
電気配線や通信ケーブルなどを隠しながら配線できます。
・LED内蔵巾木
LED照明が組み込まれた巾木です。
間接照明として利用でき、おしゃれな空間演出が可能です。
・防かび・抗菌仕様巾木
特殊な加工が施された巾木で、カビや細菌の繁殖を抑制する効果があります。
特に水回りや子供部屋などに適しています。
◾️最近のトレンド
巾木のデザインや機能にも、時代とともにトレンドの変化が見られます。
前述のように、最近は巾木のない空間が人気のため、
巾木自体の存在感を消す工夫がなされた商品が増えている一方、
巾木をアクセントとして生かすための商品も増えていて、商品のバリエーションが多様化しています。
・ミニマルデザイン
シンプルでスッキリとした印象を与える、存在感の薄い巾木が人気です。
壁と同色にすることで、より目立たなくすることもできます。
・高さのバリエーション
従来の6〜10cmという基準にとらわれず、より高い巾木を使用する例も増えています。
20cm以上の高さの巾木を使用することで、空間に独特の雰囲気を生み出すことができます。
・素材の多様化
木材や樹脂だけでなく、コンクリート調や金属調など、様々な素材感を表現した巾木が登場しています。
インテリアの多様化に合わせて、選択肢が広がっています。
・機能の高度化
単なる保護材としてだけでなく、LED照明の組み込みや、
スマートホーム対応の配線収納機能など、巾木自体の機能が進化しています。
・サステナビリティへの配慮
環境に配慮した素材や、リサイクル可能な材料を使用した巾木が注目されています。
SDGsの観点からも、これらの製品への関心が高まっています。
◾️巾木を上手に選ぶコツ
巾木を選ぶ際には、以下のポイントに注目するのがおすすめです。
・部屋の用途に合わせる
リビングや寝室など、普段の生活スペースでは木製や樹脂製の巾木が適しています。
一方、水回りや玄関などでは耐水性の高い素材を選びましょう。
・インテリアとの調和を考える
床や壁の色、家具のスタイルなど、部屋全体の雰囲気と調和する巾木を選ぶことが重要です。
同系色で統一感を出すか、あえてコントラストをつけるかは、自分の好みで決めましょう。
・メンテナンス性を考慮する
お手入れのしやすさも重要なポイントです。
特に小さなお子様がいる家庭では、汚れが目立ちにくく、拭き掃除がしやすい素材を選ぶと良いでしょう。
・耐久性を確認する
巾木は日常的に接触する機会が多いため、ある程度の耐久性は必要です。
特に家具の移動が多い場所では、傷つきにくい素材を選びましょう。
・将来の模様替えを考慮する
巾木は比較的長期間使用するものです。
将来的な模様替えの可能性も考慮に入れ、汎用性の高いデザインを選ぶのも一つの方法です。
・予算との兼ね合いを考える
巾木の価格は素材や機能によって大きく異なります。家全体の予算の中で、適切な配分を考えましょう。
・施工のしやすさ
DIYで取り付ける場合は、特に施工のしやすさを考慮する必要があります。
専門的な工具が必要なものや、高度な技術を要するものは避けた方が無難です。
・健康への配慮
小さなお子様やアレルギーをお持ちの方がいる家庭では、
シックハウス症候群の原因となる化学物質の放散が少ない製品を選ぶことをおすすめします。
◾️まとめ
巾木は、一見目立たない存在ですが、住まいの快適性や美観に大きく貢献する重要な要素です。
家づくりをするときは、「壁の下部にライン状に部材が入る」ということを知っておきましょう。
巾木の選択は、単に見た目だけでなく、生活スタイルや家族構成、将来の計画なども考慮に入れて行うことが大切です。
迷ったときは、床や壁、ドア枠など、どれかと統一すると部屋全体がすっきりまとまります。
それぞれの家庭にぴったりの巾木を選ぶことで、より快適で美しい住空間を作り上げることができるでしょう。
著者情報
愛知県豊橋市を中心に、デザイン性とともに丈夫かつ住みやすさにこだわった注文住宅を手掛ける住宅会社です。
耐震等級3を標準仕様とし省エネZEH対応も可能、土地探しから理想の家づくりまでお手伝いします。
<施工エリア>
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湖西市/およびその近郊
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